これまでの講座記録

第60回マンション維持管理講座・相談会記録

日時:2026年5月10日(日) 場所:秋葉原UDX南棟21階  田島ルーフィング㈱の会議室 参加者:約50名

大規模修繕工事を取り巻く近時の問題

~修繕積立金が狙われている~

近時の問題について「大規模修繕工事を取り巻く近時の問題」をテーマに、修繕積立金不足の常態化、工事費高騰、管理会社への依存、不透明な発注・バックマージン問題など、近年マンション管理組合が直面している課題について解説しました。資材価格や人件費の上昇により、従来の長期修繕計画が現実に合わなくなるケースが増加していること、工事の先送りや仕様縮小などの問題が発生していることを整理するとともに、不適切コンサルタント問題や談合疑惑、修繕委員会へのなりすまし事件など、近年顕在化している不透明な発注問題についても紹介しました。実際の事例や行政資料を踏まえながら、管理組合が主体的に情報収集・比較検証を行い、適切な監督機能を果たす重要性について説明しました。(成田至弘)

マンション大規模修繕工事をめぐる談合問題や不透明な発注構造について、実際の事例や関係者インタビューを交えながら解説しました。修繕委員会への「なりすまし」問題や、施工会社とコンサルタントの密接な関係、バックマージンを前提とした受注構造など、近年顕在化している問題の実態を紹介するとともに、見積競争を装った予定調和型の選定手法についても具体的に整理しました。また、実際に約7200万円で進められていた工事計画を精査し、必要な工事項目を見直した結果、約5100万円まで適正化した事例を通じ、管理組合が主体的に情報収集・比較検証を行う重要性について説明しました。管理会社やコンサルタントへ任せきりにせず、管理組合自身が監督機能を果たす必要性について理解を深める内容となりました。(山野井武)

 「適切な大規模修繕工事の実施と、“狙われない管理組合”になるための備え」をテーマに、不適切コンサルタント問題や談合問題、管理組合の主体性低下といった近年の課題を踏まえながら、管理組合がどのような姿勢でマンション管理に向き合うべきかについて解説しました。

 講演ではまず、不適切コンサルタントや談合問題について、完全に防ぐことは容易ではなく、内部告発などがない限り立証も難しい実態があることを整理しました。そのうえで、「無関心な管理組合ほど狙われやすい」という構造に触れ、管理組合側が主体性をもち、自ら情報を収集・検証していく意識をもつことの重要性を説明しました。

 また、管理会社へ任せきりにするのではなく、「マンション管理の主体は管理組合自身である」という原点を再確認し、主体性を高める必要性についても言及しました。さらに、主体性を支える基盤として、住民同士が顔の見える関係を築き、本音で議論できる「コミュニティ形成」の重要性を紹介しました。防災活動や地域活動、理事会だより等の日常的な取組みが、結果として管理組合全体の意識向上や不透明な発注への抑止力につながることも説明しました。

 加えて、情報収集と共有の重要性についても触れ、社会で起きている事件や制度改正、修繕積立金や工事費高騰などの課題を、管理組合全体で共有していく必要性を強調しました。

 最後に、大規模修繕工事は高度な専門性を伴うことから、信頼できる専門家を「選定する」のではなく、「長期的に伴走してもらう存在として確保する」という考え方を紹介しました。価格の安さだけではなく、担当者の人柄や中立性、管理組合との信頼関係を重視しながら専門家と向き合うことが、適切な修繕工事と修繕積立金を守ることにつながると説明しました。

 講演全体を通じて、管理組合の自治力やコミュニティ力、そして主体的な意識こそが、不透明な発注や不適切な利益誘導からマンションを守る最大の防御になることを伝える内容となりました。(佐伯和彦)

公開相談会 相談例

Q.施工会社紹介型の新しいビジネスモデル        は信用できるのでしょうか?

近年は、施工会社紹介と一級建築士による伴走支援をセットにした「ワンストップ型」のサービスが増えています。
ただし、紹介された施工会社だけで比較を完結させると、その枠組みの中で意思決定が固定化される可能性があります。

重要なのは、

  • その仕組み外の会社とも比較する
  • 第三者視点を持つ
  • 担当者自身を確認する

といった「比較検証」ができる状態を作ることです。 「どの方式が安全か」ではなく、「比較できる環境を作れているか」が重要です。

Q.管理会社主導の責任施工方式は妥当でしょうか?

近年、大手管理会社による責任施工方式が増えています。

この方式では、

  • 施工会社が先に決まる
  • 劣化診断前に工事実施時期を総会決議で決める
  • 調査・設計がサービス扱いになる
  • 追加工事前提になりやすい

などの特徴があります。

また、実際の現場管理を一次下請会社へ依存しているケースも少なくありません。

「手間を減らしたい」のか、
「納得しながら品質重視で進めたい」のか、 によって評価が分かれる方式といえます。

Q.第三者管理方式についてどう考えますか?

日本の理事会方式は、民主的な合意形成を前提とした非常に優れた制度であると考えています。

一方で、

  • 理事のなり手不足
  • 高齢化
  • 負担増加

などの課題もあります。

そのため、

  • 外部専門家活用
  • 顧問制度
  • 外部理事

などで補完していくことには一定の意義があります。

第三者管理方式はリスクがあります。他にどうしようもない場合の「最後の手段」です。 管理組合自身が主体性を持ち、自治力を維持していくことが重要です。

20周年記念講演報告

 マンション維持管理支援・専門家ネットワーク(略して、マンションネット)では、20周年記念講演とレセプションを、2025年10月5日(日)、主婦会館プラザエフで午後1時より開催しました。

 20周年記念講演は、鎌野邦樹先生と榎本武光先生にお願いし、約100名の参加者で大盛況で、会場は一杯となりました。

 鎌野先生は、早稲田大学名誉教授であり、法務省法制審議会委員として、区分所有法の改正にかかわる一方で、国土交通省の各種委員を兼務され、日本マンション学会の元会長で、現在、日本土地法学会会長でもあります。

 榎本先生は、マンションネットの設立メンバーで、現顧問。法学研究者です。

 鎌野先生には、「マンション管理のこれからを展望する~区分所有法改正、外部管理者方式導入にふれながら~」というタイトルで、お話ししていただきました。

 鎌野先生は、そもそも区分所有法は、近代以降の集合住宅は、「一家族・一住宅」のプライバシーを重視した閉じた空間として設計されて普及してきたが、今後のマンションは、家族内の問題とともに、共用部分等の活用・管理が重要であり、現行区分所有法は必ずしも適合的ではないこと、管理の担い手不足から管理業者管理者方式が法律でも定められたが、同方式にはさまざまな留意点があり、法改正により「区分所有者の責務」規定が設けられたことからも、区分所有者主導による管理が望ましいこと、今後のマンションの管理・再生のあり方として、区分所有建物を修繕・改良しつつ、長寿命化していく選択肢が現実的であること、最終的に維持管理に「過分な費用」を要するに至った段階で解消の決議もあるのではと問題提起もされました。

 榎本先生からは、「マンションネットの役割と今後に期待すること」をお話しいただきました。講演の要旨は、先生ご自身にまとめいただきました。

 「マンションネットは、理念として、『住みよいマンションをつくる』を掲げ、そのため、①住まい手の立場に立つ、②管理組合の立場に立つ、③区分所有者の立場に立つ、④業者から独立した立場に立つことを堅持しています。

 使命としては、①管理組合の主体性を支援する、②マンションの維持管理上・居住生活上のあらゆる要望に応じられるマンションの専門家として活動する、③マンションのコミュニティの醸成に寄与することにあります。

 そのための具体的な活動として、これまでの講座・相談会の開催、区分所有者の権利保障や管理組合の民主的な運営への活動を継続するとともに、今後政府・自治体への政策提言、社会への意見表明・発言などの諸活動が期待されています。

 たとえば、住宅政策としてのマンション政策、マンション法の創設、マンションの高齢者施策などが求められています。  マンションネットが、今後とも創立の理念・立場を堅持して、さらなる活動を展開されることを期待しています。」

第59回マンション維持管理講座・相談会記録

弁護士に聞いてみよう!

~区分所有法改正と管理組合の備え~

マンションの増加、築年数マンションの増加や居住者の高齢化といった2つの老いという問題から、令和7年に区分所有法などが改正され、令和8年4月1日に施行されます。改正法のもとでは、集会の決議が出席者の多数決で行えるようになったり、不在となっている区分所有者を決議の母数から外すことができるようになるなど、集会の決議の方法が変わります。集会の招集通知の記載事項なども変わります。また、新たに、所在不明となっている専有部分の管理人や、管理が不全となっている専有部分や共用部分の管理人を裁判所に選任してもらうことができるようになり、これによりマンションの管理がしやすくなることが期待されます。 今後、改正法の施行に合わせて管理規約の改正を検討する必要があります。標準管理規約の改正が予定されているため、それを参考にすることがいいと思いますが、自分のマンションの即した内容の管理規約としてどういった内容がよいかをそれぞれ区分所有者がしっかりと考えることが重要です。(佐々木好一)

~区分所有者の責務と外部管理者制度~

今年、区分所有法が改正され、管理に関する区分所有者の相互協力責務が定められました。これは、マンション管理に対する区分所有者の自覚を促すものとも言えます。一方、役員の成り手不足などの悩みに対応して、管理者を外部に委託する方向も進んでおり、国交省からガイドラインも示されています。外部管理者にはメリットもデメリットもありますが、特に管理業者管理方式に顕著ですが、管理がお任せになることから来る利益相反の危険、それに対応するためのチェック役としての監事の役割の重要さは見逃せません。さらに、いったん外部管理者方式を導入したとき、外部管理者側から離脱しようとする際の管理組合側の体制再構築の難しさは否めず、一方で、管理組合側から組合員管理者方式に戻そうとするときも総会決議に漕ぎつけるまでにハードルが高くなっていきます。いずれにせよ、自分たちのマンションの実情を踏まえて、どのような管理が適切なのか、真摯に検討することが求められます。(内田耕司)

第38回マンション維持管理講座・相談会記録

「長期修繕計画の活用」~あなたのマンション、長期修繕計画眠ってませんか~

 2017年12月1日(土)に一般財団法人主婦会館への協力という形で、マンション維持管理講座・相談会を開催しました。「長期修繕計画の問題点と目的・考え方」と「長期修繕計画の見直し・活用」というテーマで建築士による講座を行い、その後、公開相談会を行いました。参加者は70名程で、会場一杯の大盛況でした。
 長期修繕計画は修繕積立金を設定するために作成するものです。2008年に国土交通省のガイドラインが作られましたが、それまでは管理会社の仕事(大半はサービス対応)とされており、内容は最低限で精度も低い場合があります。また、新築時の長期修繕計画は取得者の負担可能額から逆算した修繕積立金のつじつま合わせになっている場合もあります。管理組合が長期修繕計画の目的と内容を理解することは、修繕積立金の使い方を管理組合が主体的に判断していけることにつながります。

 また、長期修繕計画は毎年動きを確認し、5年程度ごとに見直しをすることが必要です。
講座では、鉄部塗装などの中規模修繕や駐車場の空き問題(機械式駐車場の撤去)を契機に長期修繕計画の見直しを行った事例を紹介しました。

 公開相談会では、長期修繕計画の見直しなどで継続的に専門家を活用するための顧問契約や築50年を迎えるマンションの修繕計画の考え方、駐車場を第三者に貸す場合の法人税についてなどのご質問がありました。